谷川 卓

「中世の覚醒」  リチャード・ルーベンシュタイン(著)ちくま学芸文庫

本書は、中世ヨーロッパに見られた知識の継承のありようをドラマティックに描いています。知識は歴史の流れのなかでどのように継承されてきたのか。そしてそのように継承されてきた知識は後の時代にどのような影響を及ぼしてきたのか。そうした点について多くを教えてくれます。

「音楽の哲学入門」  セオドア・グレイシック(著)慶應義塾大学出版会

哲学は物事のそもそもについて検討する学問ですが、そこで言う「物事」にとくに限定はありません。ですから、みなさんそれぞれが興味のあるどの物事についても哲学的に検討することはできますし、そしてある程度の検討がなされている文献がきっとすでにあります。自分の好きな物事についてどういう哲学的検討がなされているかを覗いてみることは、かっこうの哲学入門になるでしょう。ここでは、音楽が好きなひとは多いでしょうから、音楽について哲学的検討をした本を紹介しておきます。本書とともに、単なる音と音楽では何が違うのかといった問いを考えてみるのはいかがでしょうか。なお、訳者のひとりである源河亨さんは『悲しい曲の何が悲しいのか』(慶應義塾大学出版会, 2019年)という本を書いています。こちらもおすすめ。

「教養の書」  戸田山和久(著)筑摩書房

みなさんは、これまで勉強してきたし、いまも勉強しているし、きっとこれからも(というのは大学を卒業したあとも)勉強していくことでしょう。しかし、私たちはなぜ勉強しているのでしょうか。勉強することにはどんな意味があるのでしょうか。「学ぶ」ということについてあらためて考えるためのヒントになる本として、本書を紹介しておきます。