中原 真祐子

 新版 論文の教室 レポートから卒論まで  戸田山和久(著)NHK出版
 大学生にとっていちばん難しい課題が、レポートの執筆でしょう。この本は、レポートの書き方を実例つきで一通り教えてくれます。
 レポートは、えいや!と自己流に書き始めてもうまくはいきません。書いてみたけど自分のレポート、これであってる?と不安な人も多いでしょう。
 実は、大学で課される「レポート」は正当な手順を知っていれば、誰でも書ける文書です。この本を読めば、レポート作成の正当な手順がざっくり分かります。そして、この本の良いところはなんといっても面白いこと! 著者一流のユーモアが溢れる文章は、マニュアル本なのに通読できる面白さです。
 レポート課題がたくさん出される学期末になる前に、一度この本を読んで、手順を知っておきましょう。勉強が楽になりますよ。
 大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ 
 トキヤマユキコ、清田隆之(著)左右社
 一人暮らしを始め、サークルも決めて、履修登録をし、とりあえず始まった大学生活。授業もサークルもバイトもあり、忙しく日々は過ぎていくけれど、大学生活ってこんなもんでいいのかな、と思うこともあるでしょう。
 大学での過ごし方に正解はないので、みな自分なりの大学生活をつくっていけばいいのだけれど、他の人はどうなんだろう?と知りたくなる時もありますよね。
 書の著者は、東北芸術工科大学で教える傍らパンケーキから結婚までいろんなテーマで執筆を続けるライターでもあるトミヤマユキコと、フリーランスライターで恋愛や男女問題をライフワークにする清田隆之。二人とも早稲田大学出身。この二人が、自分の冴えない大学時代を包み隠さず話し、ちょっとした大学生活のコツを伝授してくれます。気楽に読める一冊です。
 女のからだ フェミニズム以後 荻野美穂(著)岩波書店
 女子のみなさーん、元気に生きてますか? 月経痛がつらいのに朝一限から必修があって、なんで私だけ!不条理!と思ったことはありませんか。―そんなこと考えたこともない、という人がほとんどかもしれません。私も大学生の頃はそうでした。身体的な問題は個人的なことだと考え、あたかも自分に身体がないかのように、個人的に対処するのがふつうだと思っていました。
 しかし、実は、女性身体がもたらす苦しさやモヤモヤを抱えて生きている人が社会にはたくさんいたのです(だって人口の半分は女性だもんね)。20世紀は、女性身体を有する人が、この社会で「私」が生きやすくなるために、行動を積み重ねてきた時代でもありました。本書は、女性の身体をめぐる現代史です。こういうアプローチで自分の問題を考えることもできるのだ、と教えてくれた一冊でした。