小林 啓祐

 「仕事と日本人  武田晴人(著)ちくま新書
 この本は、「仕事」ということに対して、近代に生きた日本人がどう考えていたのかをいくつかのトピックを挙げて紹介しています。昨今働き方改革が声高に言われていますが、実は100年も前になると日本人の労働観は今と大きく違うものでした。特に「残業」というのは、考えさせられます。自分の考えを相対化するためにも、ぜひご一読を。
 遅刻の誕生 近代日本における時間意識の形成 橋本毅彦(著)栗山茂久(編著)三元社
 『仕事と日本人』とあわせて読んでほしい一冊です。こちらはハードカバーでページ数も多いのですが、近代に生きた日本人がどのように「時間」に向き合ったのか「鉄道」「労働管理」「子供」「主婦」「暦」「時計」という視点から12人の著者が検討します。興味のある章だけ読んでも、我々が今現在「当然」としていることが、実は明治時代に多くの葛藤を経て作られたものであるということを理解してもらえるでしょう。