藤井 孝宗

 多数決を疑う:社会的選択理論とは何か  坂井豊貴(著)岩波新書
 我々は多数決が一番、と思っていることが多いのですが、多数決による決定は「社会的に望ましくない」結果をもたらすことも実は結構あります。多数決の問題点、および多数決では問題がある場合はどうすべきなのか、などを考えるための基本的な考え方を紹介しているのが本書です。
 「「原因と結果」の経済学 中室牧子・津川友介(著)ダイヤモンド社
 社会現象などに関して、「Aという現象とBという現象には関係がありそうだ」、というのは見ていれば(観測すれば)わかることが多いです。しかし、「Aという現象が原因となってBが起きている」のか、あるいはその逆なのか、あるいは第3の要員が原因となってABが起きているのか、はそれほど簡単にはわかりません。しかし、政策などを考える場合に、目指す結果をもたらすための因果関係(原因と結果の関係)が明確でなければ、有効な施策を立てることはできません。本書は、どのようにすれば統計的に因果関係を推測することができるか、という考え方をわかりやすく紹介しています。
 ヤバい経済学(増補改訂版) スティーヴン・D・レヴィット(著)東洋経済新報社 
 経済学はきっとお金の話をする学問だろう、と思っている人も結構多いかもしれません。しかし、実は経済学は「科学の女王」と言われることもあるくらい、様々な分野に応用することができる学問体系です。本書で紹介されている様々なトピックは、一般的には経済的な問題とは全く関係ないと思われているであろう問題たちです。しかし、そのような問題でも、経済学の道具を使って分析すると意外なことがわかったり言えたりするんだよ、ということを豊富な実例をもとに紹介してくれているのが本書です。経済学って結構いろんなところで役に立つんですよ?