ファシズムを「大衆が自らの客観的利害に反してさえも資本主義を維持する人的基盤に統合されるシステム」と定義する著者は、民主主義を楯にしていればファシズムを防げると考えるのは大いなる幻想だと主張する。ヒトラーは大衆に「黙れ」と言って押さえつけたのではなく、「叫べ」と言って「参加」と「共感」を促した。「ポスト真実」や「フェイクニュース」はトランプ大統領とともにやってきた目新しい現象ではなく、常に民主主義とともにあった。「騙された」と思って序章と第一章だけでも読んでみよう。けっして「騙された」とは思わないはずだ。
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