西野 寿章

日本経済30年史 バブルからアベノミクスまで  山家悠紀夫(著)岩波書店

著者は「書き終えて,一仕事終えたという満足感よりは,日本はどうしてこうなってしまったのだろうかという不安感の方が強い」とあとがきで述べている。こうした感覚を持っている若い人は少ないと思われる。現代社会を見る上で,バブル経済の源泉である1985年のプラザ合意以降の日本経済の歩みを知ることが重要である。本書は,わかりやすく,1985年以降の日本経済の歩みをまとめ,分析している。参考文献も充実しており,経済学,経営学,地域政策学を学ぶ皆さんに一読を勧めたい。

日本の電力改革・再エネ主力化をどう実現する  山家公雄(著)インプレスR&D

2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故を契機として,日本においても,再生可能エネルギーの導入の必要性が認識され,再エネにより発電された電気を一定期間固定価格で買い取るFIT(Feed in Tariff)制度によって急速に普及した。2020年6月5日には,エネルギー供給強靱化法が成立し,再生可能エネルギーについて買い取り価格の固定制度から市場によって価格を決める制度FIP(Feed-in Premium)に移行することになった。本書は,FITからFIPへの移行を見据えた上で,原発事故後の社会問題となっている日本の電力改革,再エネの主力化実現に向けての課題を提示している。エネルギー問題に関心のある学生に一読を勧めたい。