| 若林隆久
「〈育てる経営〉の戦略:ポスト成果主義への道」 高橋伸夫(著)講談社 | 人が働くとはどういうことか」や「どのような会社が生き延び、成長するのか」について書かれた本です。第2章や第4章をはじめとした随所に登場する事例やエピソードは、現実の一部をうまく切り取っていて、読むと目からうろこが落ちます。著者が言う通り「答は常にケース・バイ・ケース」ですが、「人はなぜ働くのか」に興味がある人は、ぜひ読んでみてください。 |
「東大教授が教える独学勉強法」 柳川範之(著)草思社 | ともすれば誤解を招きかねないタイトルですが、「どのように学ぶか」ということだけではなく、「何のために学ぶのか」や「どのようにものごとを考えるか」といったことについても書かれています。著者自身の経歴は特殊ですし、著者が主張する通り勉強の仕方は人によって大きく異なるわけですが、勉強するということが本来はどういうことである(べき)かを示してくれます。著者が大学教員であるため、卒業論文をどのように書くのかという点でも参考になる本だと思います。 |
「県庁おもてなし課」 有川浩(著)角川書店
| 私自身、ゼミ生から進められた本です。実在する高知県庁「おもてなし課」による地方の観光振興を題材とした小説です。高知出身の著者が実話をもとにして書いているだけあって、きめ細やかな描写がなされています。地方の観光発展や自治体のあり方を考える際のヒントが随所にあり、この本をテキストにして観光の研修をしたいという地方自治体があるほどだそうです。公務員になりたいという人や観光に興味がある人には―そうでない人にも―オススメです。 |
「モチベーションの新法則」 榎本博明(著)日本経済新聞出版社 | 誰にでも関係のあるモチベーションというトピックについて、基本的な理論から最新の理論までを、日本人の文化的背景も考慮しながらわかりやすく紹介しています。この本を読むことで、自分自身や周りの人を元気にすることができるかもしれません。 |
「マーケティングの嘘:団塊シニアと子育てママの真実」 辻中俊樹・櫻井光行(著)新潮社 | 刺激的なタイトルの本ですが、おざなりな定量調査は「嘘の消費者像」を抱かせるだけであり、「本当の消費者像」を明らかにするためには筆者らの実施する「生活日記調査」などを用いて生活者の生活をまるごととらえる必要があると主張しています。マーケティングに関する知識や手法も勉強になりますし、当人たちにとっては当たり前でも知らない人にとっては新鮮な驚きのある消費者像が描き出されています。マーケティングに限らず、いかに調査から実態に迫っていくかという点で参考になる本です。ビッグデータが喧伝される時代だからこそ、その活用のために重要となってくる視点かもしれません。 |
「Jポップとは何か:巨大化する音楽産業」 烏賀陽弘道(著)岩波書店 |
| 普段何気なく聞いている音楽が、どのように作られているのか、時代とともにどのように変遷してきたのかが書かれています。ポピュラー音楽の背後にある商業的な側面を見事に明らかにしており、マーケティング論や産業論の本でもあるといえます。この本が出た後の10年間に、音楽産業にさらに何が起こったのかを考えてみるのもいいかもしれません。 |
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「プレイフル・シンキング:仕事を楽しくする思考法」 上田信行(著)宣伝会議 | タイトルには表れていませんが、どうすればより多くのことを学びより成長できるかについて書かれている本です。「学習環境デザイン」を専門分野とする著者が、どうやって仕事や課題を楽しむか、どうすればモチベーションがあがるか、いかに積極的になるか、いかに周囲の状況や他者を活用するか、成長できる人のマインドセット(心のあり方)はどのようなものか、といったことを述べています。様々なアイディアやヒントが詰まったこの本を読んで、大学生活で少しでも多く成長してください。 |
「あなたの話はなぜ「通じない」のか」 山田ズーニー(著)筑摩書房 | 文章表現やコミュニケーションに関して多数の著作がある筆者の初期の本です。単に論理的な思考法や表現法といったスキルについて述べるだけではなく、コミュニケーションのゴール(筆者の場合は自分の想いに嘘をつかずに人と通じ合う)、メディア力、根本思想、といった筆者独特の用語・視点から、見事な「問い」を繰り出しながら伝わるコミュニケーションについて論じられています。 |
「アーティスト症候群:アートと職人、クリエイターと芸能人」 大野左紀子(著)河出書房 | 何気なく使われているアーティストという言葉をとっかかりに、アートとは何か、芸術とは何か、最近の世の中の風潮といった普段は考えないようなことについて、著者の(時には辛口な)ズバズバと切り込んでいく語りによって明確にいきます。芸術に関して素人な私は読後に頭の中がそれなりにスッキリしました(わかったような気になれた?)。 |
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