| 矢野修一
「日本の近代とは何であったか―問題史的考察」 三谷太一郎(著)岩波新書 | 現代日本を代表する知性の一人が「議論による統治」を「近代」の指標としつつ、明治以後の政党政治、資本主義、植民地、天皇制を論じた刺激的な書。日本の政治が立憲的独裁の性格を強める中、デモクラシーや平和主義を考えるうえで必読である。 |
「科学者と戦争」 池内 了 (著)岩波新書 | 日本学術会議は、科学者が悲惨な戦争に加担した反省から、軍事目的の科学研究を絶対に行わないと宣言してきたが、今や戦後学術の原点が危機にさらされている。2017年、安全保障技術研究推進制度なる競争的資金が前年比6倍の総額110億円となり、研究費削減に悩む科学者の目の前にぶら下げられている。早くから軍学共同に警鐘を鳴らし、科学者の社会的責任を問い続けてきた著者渾身の書。 |
「時間かせぎの資本主義―いつまで危機を先送りできるか」 ヴォルフガング・シュトレーク(著), みすず書房 | 貨幣で時間を買い、危機を先送りし続けるシステムの機能不全を解き明かし、「国民国家にまだわずかに残された余力」による危機打開の方向を目指す。Brexitやトランプ現象の本質は何か、世界で今何が起きているのかに関心のある学生必読。 |
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