2019年5月、台湾ではついに同性婚が合法化されました。そんな台湾で、性的マイノリティ運動を時に先導し、後押ししてきたのが文学でした。1990年代から今日まで、台湾では実に多くの性的マイノリティ文学が創作されてきましたが、1983年に出版された本書は、その先駆けとなった金字塔的作品です。主人公は、1970年代の台北に生きたゲイの少年たち。彼らそれぞれの葛藤や欲望が丁寧に描かれており、笑いも涙も誘われます。物語を楽しめば自然と台湾や中国の歴史・文化を知ることができるでしょう。訳書であることを感じさせない見事な邦訳も魅力です。
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