高松正毅

 女系図でみる驚きの日本史 大塚ひかり (著)新潮社
 本書の著者は、中高時代、藤原道長の栄華を描いた『栄華物語』にはまり、系図を作るために古典文学を読むようになった。趣味が高じるあまり、大河ドラマを見てもギリシア神話を読んでも、飼い犬の血統書を見ても系図を作らずにはいられなくなったという。

その結果、○氏の滅亡とは男子が途絶えることであり、「女系図」によれば、蘇我氏も、平氏も滅びていないことがわかった。源氏は頼朝の直系の子孫は途絶えたが、同母姉妹や父義朝の子孫は滅びてはいない。

歴史を「男」の側からのみ見ることは、思わぬ陥穽にはまることになる。
 AI vs.教科書が読めない子どもたち 新井紀子(著)東洋経済新報社
 著者が手がけたAI東ロボ君は、センター試験受験者の上位20%に入った。また、著者は“TheFuture of Employment”や“Race Against the Machine”に先駆け、2010年に『コンピュータが仕事を奪う』をいち早く上梓している。本書では、シンギュラリティの到来を完全に否定しながら、同時に、多くの人が失業することに大きな警鐘を鳴らしている。著者は、かりに自分は職を失うことがなかったとしても、失業者が増えれば、「可処分所得の中央値が劇的に下が」り、「今までのようにモノやサービスを購入できなくなる」としている。AIに対する人間の比較優位を、しっかりと見極めていかなければならない。
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 西林克彦(著)光文社 
  2005年に出版された本を、いまさら引っ張り出してきたのには理由がある。新井紀子(2018)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が、子どもたちの読解力の低下を鋭く指摘したからである。

何でも「わかる」と決めてかかってはいけない。「わからない」方が正しいかもしれないからだ。問題なのは、「わからない」ことを、「ここがわからない」と明確に指摘できないことであり、「わかっていない」ことに気づかぬまま、「わかったつもり」になってしまうことである。

「わかったつもり」になってスルーしてしまっている「わからない」ことに、誰もが気づく必要がある。