タイトルにあるとおり、この本は「幸福とは何か」という問いを哲学・倫理学の観点からアプローチしたものです。まず注意してほしいのですが、この本には具体的に何をすることが幸福なのかが書かれているわけではありません。たとえばみなさんのなかには、幸福というのはおいしいものを食べることだとか、希望の職業につくことだというふうに考えるひとがいるでしょう。ですが本書で検討されているのは、そのような幸福の中身ではありません。本書では、言ってみれば、あなたが幸福であるならばそのとき満たしているはずの条件が追求されています。たぶん私たちはみな幸福な人生を送りたいと思っています。ですが、「幸福である」とはそもそもどういうことなのでしょうか。「幸福とは何か」という問いを、一段深めた仕方で考えるための材料を提供してくれる(と同時に、哲学・倫理学の議論の進め方を学ぶこともできる)本です。
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